2023夏季サイエンスアクティビティ(核融合科学研究所)
2023夏季サイエンスアクティビティの第3弾!岐阜県土岐市にある核融合科学研究所(大学共同利用機関法人 自然科学研究機構)で実施しました。
Part.1の様子はこちらからご覧ください。
Part.2の様子はこちらからご覧ください。
これまでのサイエンスアクティビティはこちら。
未来のエネルギーを支える技術開発の最前線研究を探究
核融合科学研究所での実習も今年で7回目を迎えました。初めて参加する生徒だけでなく、3年連続で参加する生徒もあり、生徒の好奇心を喚起する実習として定着してきています。将来の研究分野や進路目標に大きな影響を与えています。
8月4日(金)に岐阜県土岐市に ある核融合科学研究所で科学実習を実施しました。実習内容は以下の通りです。
1.核融合エネルギー研究に関する講義
2.核融合科学研究所の施設見学
3.各テーマごとの実験実習
4.実習の成果報告会
核融合エネルギー研究に関する講義
石油や石炭など火力発電に関する「資源枯渇問題」・原子力発電に関する「廃棄物処理問題」を解決する次世代エネルギーとして研究が進む「核融合エネルギー」についての講義を受けました。核融合エネルギーとは太陽などの恒星が原子を融合させたときに生じるエネルギーです。燃料の重水素は海中にほぼ無尽蔵に存在するそうです。発電中の安全性、発電後の廃棄物の安全性についてもしっかりと説明していただけました。今後は約30年後の実用化に向けた研究を実施していくそうです。
核融合科学研究所の施設見学
核融合科学研究所内の各施設を見学させていただきました。廊下の壁には施設建設の歴史・核融合反応の説明パネルがあります。また、実験スペースでプラズマに関する実験を体験することができます。プラズマとは、原子がイオンと電子に分かれた状態です。
実験実習の様子(プラズマの電気計測)
筆者は「プラスマの電気計測」の実習に参加しました。プ ラズマを発生させた装置に電極を差し込んだときに回路に流れる電流を測定します。中学校までに習う知識では、電流は電圧に比例します(定数は1/R)ので、直線で表せます。プラズマではどうなるかを測定するとそれとは大きく異なります。生徒たちはこの違いを話し合って探究していきます。また、プラスマの中に入れる電極を、棒状のものから板状に変えてみます。板状の電極の向きによっても電流の流れ方が異なります。とても面白い現象で、この現象を探究するために横浜の高校生が来所していました。同じ高校生同士で刺激を受け合っていました。
実習の成果報告会
実習は「プラズマの電気計測」、「コンピュータシミュレーション」から1つを選択して実習しました。これらの研究は核融合研究には欠くことのできない技術です。実習後は各自の実習結果を報告しました。
すべてのプログラムを終え、全員で記念撮影し帰路につきました。お忙しい中、ご協力いただきました核融合科学研究所の皆様には感謝申し上げます。
参加生徒の振り返り
○今回で3回目の参加なのですが、過去の参加 経験と核融合の記事を読んだことにより、より深い学びを得られました。今回特に印象に残ったのは、装置内の温度を計測する方法として熱電対を使っている事です。熱電対という手法は初めて聞いたので、ネットで調べました。また新しい知識を得られて嬉しいです。また、私はB班だったため、コンピューターシュミレーション実習を受けました。プログラム言語を用いて視覚的に事象を検証できることが素晴らしいと思いました。この実習で私は、将来プログラム言語を学びたいと思う気持ちが強くなりました。
3回目の研修参加はとても有意義なものになりました。関係者の方々、本当にありがとうございました。
○講義では、日本はまだまだエネルギー資源を石油や天然ガスに頼っていること、それが問題になっており、そのために核融合発電の開発に期待がされていること、核融合発電の原理、利点、課題がわかりました。プラズマの電気計測では、プラズマが発する光から物質を特定でき、それが恒星を構成している物質の特定につながっていることに驚きました。また電気計測をするだけでプラズマの密度や温度がわかることを学びました。僕は今回のことでさらに科学への興味や関心を深めることができました。貴重な体験をさせてもらい、ありがとうございました。