市邨サイエンスキャンプ Ichimura Science Camp

市邨サイエンスキャンプ Ichimura Science Camp

市邨高校では理科離れを食い止めるだけでなく、「理科好き」の生徒を育む目的として1年に2回(主に長期休暇)の野外活動調査を実施しています。

夏季サイエンスキャンプ 《葦毛湿原とのんほいパーク(2021)・木曽駒ヶ岳登山とキャンプ(2019)》
冬季サイエンスキャンプ 《瑞浪化石博物館(2020)・伊豆大島(2018・2019)》

冬季サイエンスハイクを計画中!

新型コロナウイルスの猛威がまだ収まっていません。全国的にも若年層を襲う変異株が拡大しつつあります。感染拡大を食い止めることはとても重要です。今後、新型コロナがどのように推移するか先は見えませんが、生徒たちの「学びを止めない」ためにも、感染対策を徹底した冬季サイエンスハイクを計画したいと思います。詳細が決まりましたらお知らせしていきます。どうぞよろしくお願いします。

夏季サイエンスハイク(豊橋編)を実施しました

夏休みが始まって直後の日曜日、高校生16名が参加した夏季サイエンスハイク2021を豊橋市で実施しました。昨年は新型コロナウイルスの影響で実施を見送りましたが、今年度は新型コロナウイルスの感染拡大に注意して日帰りのサイエンスハイクを実施しました。

集合は豊橋駅です。各自でJRや名鉄電車などの交通機関を利用して集合です。時間に遅れることなく全員が集合しましたので、最初の研修地である葦毛湿原に向けて移動しました。

葦毛湿原(いもうしつげん)

葦毛湿原は豊橋市にある低層湿地で、来年には日本の天然記念物に指定される予定です。標高60〜70mの山の麓に広がっている湿原で、山際から湧き出した地下水によってつくられている湧水湿原です。東海地方にある湧水湿地としては最大規模の湿地です。葦毛湿原には、トウカイコモウセンゴケ、ミカワバイケイソウ、シラタマホシクサなどの東海地方に固有に分布している植物が多くとても貴重です。また、ミカヅキグサ、ヌマガヤなどの寒冷性の植物、ミミカキグサなどの暖地性の植物がそれぞれ自生しているなど、東海地方の自然の成り立ちを知ることができる学術的に貴重な場所でもあります。

豊橋市総合動植物公園(通称:のんほいパーク)

豊橋市総合動植物公園は「のんほいパーク」と呼ばれ、動物園・植物園・自然史博物館と遊園地からなる巨大なテーマパークで、豊橋市民だけでなく愛知県民と隣接する静岡県からも多数の来場者がある公園です。

はじめに、日本列島の成り立ちを学べる自然史博物館を見学しました。豊橋市周辺は、日本列島を東西に分ける大地溝帯と南北に分断する中央構造線があります。新城市にある豊川の川岸に露頭を見ることができます。残念ながら昨年の大雨の影響で露頭の見学はできなくなっています。自然史博物館の中には、恐竜時代から現在までの日本列島(豊橋市周辺を含む)の動植物の歴史を感じることができるようになっています。

自然史博物館の観察後は、それぞれグレープに分かれて動植物園を自由に散策しました。のんほいパークは行動展示の先駆けでもあり、展示方法に特徴があります。いつもは、水の中にダイブするホッキョクグマの行動を見ることができますが、いまは新型コロナウイルス感染拡大に配慮して、人が集まらないように工夫をして実施されています。動物福祉(アニマルウェルフェア)の観点で飼育されていることも勉強になりました。

<参加者の振り返り>

◯葦毛湿原では事前に聞いていた『サギソウ』と『トウカイコモウセンゴク』は見つけることができたけど2021夏季サイエンスハイクのチャットで配信された(愛知県指定天然記念物 葦毛湿原)のファイルに載っていたこの時期に咲くべき植物たちを見つけることができなかったのが残念でした。だけど、今日はよく晴れていて爽快の景色が味わえたのが印象的でした。その後の『のんほいパーク』では『自然史博物館』と動物園ゾーンにある『極地動物館』をメインに回りました。博物館に行くのは小学生低学年以来なので久しぶりでした。本当はそこで展示されている中央構造線を学ぶのだけど恐竜の化石ばっかり見ていて、やっぱり凄い迫力があってカッコよかったです。特に恐竜エリアに入った時のBGMがグッときました。あの怪しい雰囲気を醸し出すのが最高にイイ。博物館に来たっていう実感というか言葉にするのが難しいけど、とにかく良かったです。動物園は全て回ることはできなかったけど極地動物園に入りました。ホッキョクグマを見た時はずっと寝ていたけど水に飛び込む瞬間を写真におさめた人もいたらしいです。羨ましかったけど寝顔が可愛かったから満足しています。また、レッサーパンダを見に行きました。『可愛い』『愛くるしい』『いとおしい』しか出ないほど可愛いくてクーラーもかかっていたので写真におさめたり動画を撮ったりして長い時間涼みながら堪能していました。気づいたら写真のアルバムがレッサーパンダ尽くしになっていてビックリしました。最後のかき氷美味しかったです。奢る奢られるなどこういうことを今日までしたことがなかったので先輩たちの行動にびっくりしました。なんか高校生らしいなーと思いました。そういうノリができるようになって見たいです。日常であまり行かないところに行くと発見や疑問がたくさん見つかるので面白かったです。ずっと家の中にいたので気分転換になりました。今回じっくり動物を見ることができなかったので今週中に水族館にでも行こうかと考えていています。

◯葦毛湿原で、多くの種類の植物や虫を見ることができました。また、湿原を守るために木を生やさないようにするなど色々人の手を加えないといけないということも知ることができました。のんほいパークでは、多くの、のびのびと生活する動物を見ることができました。ただ、気温が高くどの動物も暑そうでした。今回のサイエンスハイクでは、さまざまな植物の概要などを知ることができ、非常に楽しかったです。

◯今日は初めて湿地に行きました。普段生活しているなかでは、あまり見ることのない植物を見ることができ良い経験になりました。動物園ではたくさんの動物を見ることができ、動物達が暮らしやすい環境を作ってあげることが大切だと感じました。今日一日、良い日になりました。

◯普段の生活では絶対に見ることのできない自然の姿をみることができてよかったです。
また今回のサイエンスハイクで人間が環境破壊だけをしているのではなく、人間の手で守られている環境もあることを知ることができてよかったです。         

◯普段見られないサギソウや食虫植物などが見られて面白かったです。
◯湿原特有の植物の美しさや豊かさ、それを住処とする生物の多様性に直で触れることができ、自然に対する意識が向上した。 また、新しい1年生の知り合いが増え、多くの人と親しむことが出来た。
◯湿地には固有の生態系があるが、それを守るためには、人の手を加える必要があるので、人間も生態系の一部であると感じた。

次回は、12月に冬季サイエンスキャンプ2021を計画します。

令和3年度夏季サイエンスハイク2021_決定

2020冬季サイエンスキャンプ(Science Camp)に行ってきました。

新型コロナウイルスの影響を受けて、伊豆大島(昨年の様子)で予定していた2泊3日のサイエンスキャンプを、岐阜県瑞浪市への日帰りハイクに変更して実施しました。

参加者にサイエンスキャンプのデータをエアドロップで送ります。資料を共有します。

2020年12月26日、朝9時10分にJR瑞浪駅に集合した後、瑞浪市化石博物館のある瑞浪市民公園に向かいました。始めに、瑞浪市化石博物館入り口横にある「化石の地下壕」から見学します。かつて防空壕としても使われ、今は化石博物館の展示物の一つとなっています。地下壕の天井や壁を見ると貝殻をたくさん見ることができます。これを見たとき、岐阜県の山里にどうして海産の貝の化石があるかと多くの生徒が疑問を抱きました。その謎を調べるためにすぐ隣の化石博物館を見学しました。

化石博物館には明治時代に日本で初めて発掘された絶滅哺乳類(デスモスチルス)の化石や、1970年代に行われた中央自動車道工事で出土した化石を展示しています。デスモスチルスはいまで言う「カバ」の仲間に近く、水辺や水中で生活をしていたと考えられています。そのことから考えても、瑞浪市周辺はデスモスチルスが生きていた時代は水辺であったと考えられました。実は日本列島が形作られる前(1700万年前)は瑞浪市周辺は海となっていたそうです。

デスモスチルスは水辺に生息し、草を主食とする草食動物です。歯を観察すると水草をはですりつぶして食べていたのだろう。
日本で最初に発見されたデスモスチルスの化石。瑞浪市周辺に水辺が広がっていたことを示しています。
瑞浪周辺が淡水域や海水域になっていたことがわかります。これらも化石から推測されています。
上級編のクイズに挑戦しています。

化石博物館のすぐ前にある小山の山はだには露出した地層(露頭)を観察することができます。多数の貝殻が砂岩の層に見ることができます。ノジュールとよばれる貝が砂地に作った巣跡の化石も観察できます。かつて海の底であったことを実感できます。

約1700万年前の地層を観察できました。
随所に説明が書かれていて勉強になりました。
中央の棒状に変色している部分がノジュールです。ここに貝が棲んでいたのですね。
500円硬貨を横に並べてみると大きさがわかります。
今回の参加生徒たち(高1:5名・高2:5名)

瑞浪市化石博物館周辺の山には多数の地下壕跡を見ることができます。これは第二次世界大戦末期に戦闘機工場を作るために掘られました。上空からの空襲を避けるために地下に工場を作る必要があったからです。しかし、工場建設中に戦争が終わり地下の巨大戦闘機工場は完成することはなかったそうです。その工場跡地に「地球回廊」という施設が建てたれました。地球が誕生した約46億年前から現代までを様々な展示物で学ぶことができます。残念ながら地下壕の老朽化で施設を維持管理することが難しくなったこともあり、2021年3月をもって閉館されることが決まっています。

地球回廊がかつての地下壕跡に作られたことを説明している大津教諭。
奥に見える入り口はかつての地下壕

瑞浪市化石博物館・地球回廊とも瑞浪市民公園内に立たれている施設の一部です。同公園内には、岐阜県先端科学技術体験センター(サイエンスワールド)もあり、小学校未就学児から高校生・大人までが最先端の科学を手軽に体験することができます。私たちが到着した時刻からはサイエンスショーが開催されており、約50分間の科学実験を体験することができました。「音や光の干渉」「液体窒素を用いた極低温の世界」「形状記憶合金」など約20種類の実験をみることができました。一部は実際にステージ上で体験しました。

地球誕生46億年前、いかにして生命は誕生し今があるかを知ることができる。

瑞浪駅の近くに「瑞浪鉱物展示館」という国内外から集められた貴重な鉱物を展示している資料館があります。宝石として有名なダイヤモンドや石英(水晶)、ヒスイ・メノウ・黄鉄鉱・砂漠のバラなど貴重な鉱物を無料で観察することができます。

貴重な鉱物を鑑賞することができました。時間がいくらあっても足りません。

参加生徒の感想

わたしは今回の冬季サイエンスキャンプで、人と考えを共有することの大切さを知りました。瑞浪市化石博物館へ行った際、歯の化石を見ながら、この歯はどういう仕組みなのか。どんな動物だったのか。などについて友達と話しながら回りました。友達と話し合う中で浮かんだ疑問は、自分の将来に役立つのではないかと思うものでした。その疑問は、友達と話し合っていなければ浮かび得ないものだと思います。友達とでなくても、人と自分の考えについて話すことはとても大切なことなのだと改めて気づかされました。今回浮かんだ疑問を自分の将来に活かすことができたらと思います。

自分は、全ての事象は繋がっていると感じました。
例えば大地が変動したり気温が変化することによって生物の分布が変わったり、化石や鉱物ができたりして、それらも新しい事象につながっていくのを感じました。

私は冬季サイエンスキャンプを通して体験することで興味を持つことに繋がるなと感じました。最初、私は恐竜について知らなかったけど、体験するうちにどんな種類がいるのか、どうして絶滅したか気になってもっと知りたいと思うようになりました。
これからも様々なことに挑戦し自分が1番興味があることを見つけられたらいいなと思いました。

僕は今回のサイエンスキャンプで、物事を深く考えることの大切さを学びました。例えば「化石の地下壕」に行った時にそこにどのような生態があったのかを考えるだけでなくそこでどのような地質の動きがあったのか、なぜこの地下壕が掘られたのかを考えることの重要さを考えることの必要性を感じました。今回得た経験を学校生活で活かしていけるようになれたらいいなと思いました。

普段は味わえないことが体験できて良かったです。

私はいつもでは味わえない新鮮さを感じました。
知らないことだらけで始まったサイエンスキャンプでしたが、帰る頃にはたくさんの新しいことを覚えられました。
事前に調べたものと、自分の目で見たものは見え方が違ってとても面白かったです。

私は今回参加したことで、興味が深まったことを実感することができました。私の好きなものが沢山あって見ていて飽きないものばかりでした。自分一人では博物館などに遠出することは滅多にしないことだと思うので行けてよかったです。家や学校で本を読んだりすることだけではなく、こうして出かけて実際に見てみることも大切だと感じました。

化石から当時の状況やその生物の生態がわかるのは凄くて、それを知れるのは面白いなと改めて感じました。全体の一部しか発見できなくても、そこから物事を深く知っていくということ、想像を膨らまして仮説を立てることを他のことにも生かしていきたいです。

冬季サイエンスキャンプ瑞浪編

Ichimura Science Camp 2019 in winter

今年も冬季サイエンスキャンプ として伊豆大島に出かけました。今年は12名(希望者:中学生3名・高校生9名)の生徒が参加しました。

1日目(2019.12.25)

名古屋駅に朝6時25分集合です。皆んな元気に集合しました。

早朝の名古屋駅に誰1人と遅れることなく集合時間前に集まることができました。6時46分発の新幹線に乗り込みました。熱海港を9時10分に出発する高速ジェット船に乗り、10時ごろに伊豆大島に上陸しました。

高速ジェット船です。熱海港から大島まで約45分です。

天気は快晴、早速三原山への調査へ出かけました。三原山は今から33年前の11月に大噴火をし、その時に流れ出た溶岩が草原を焼き尽くしました。その後、溶岩が風化したり、コケや植物の種が運び込まれるなどして、草原が再生を始めています。いろいろな植物が溶岩流の上に現れ始めていますが、溶岩流で焼き尽くされず草原が残っている場所(1986年噴火以前の噴火で焼き尽くされた場所)とどのような違いがあるかを調べています。

三原山を望む外輪山で記念撮影

外輪山(御神火茶屋)から三原山をバックに記念撮影です。山肌の黒いすじは33年前に流れ出た溶岩です。いまだに植物が生えないでいる光景が見られます。数千度で熱せられた溶岩のため、植物本体だけでなく土壌中の種子(埋土種子)も焼き尽くされました。ここから草原や森林に変化するまでを植生遷移と言い、周期的に噴火を繰り返している伊豆大島は植生遷移を学習するには最適な教材です。さらに、今回は植生遷移の観察だけでなく、植生の違いの原因を探ります。

三原山をバックに記念撮影。山肌の黒いすじが1986年噴火で流れ出した溶岩流です。
山肌に見える黒いすじが30年前の溶岩流です。今でも植物が生えていない様子が見られます。

溶岩流の先端部まできました。遠くから観察した時は何も植物が生えていないようでしたが、実際に溶岩流の上に登るといくつかの植物を見ることができました。溶岩の表面には緑色のコケが育ち始めている場所があります。また、ハチジョウイタドリがパッチ状に溶岩流状に点在し、その根本は自身の落とした葉から変化し始めている土壌ができ始めているところが観察できました。少しずつ土壌が作られ、それに伴って植物が大きく育つと同時に、別の種類の植物が進入できる条件を作り出していることがわかりました。

溶岩流の上に生えている植物を観察します。溶岩の風化を実感します。
溶岩流に生え始めた先駆植物(パイオニア植物)の生えている土壌を調べます。
1日目の調査を無事に終えることができました。このあと、大島温泉ホテルの温泉に入浴し冷えた体を温めました。

夕食はサイエンスキャンプ 恒例の自炊です。スーパーで地元の食材を購入し協力して食事を作りました。今日は鍋料理となりました。料理を食べながら参加者交流の時間としての自己紹介タイムです。始めてて顔を合わせたこともあり有意義な時間となりました。全員の顔と名前を必死で覚えました。食後は冬の星座観察です。iPadのアプリを使って星座名や星の名前を見ながら実際の星空と見比べます。プラネタリウムで見られるような星空が目の前にあり非常に感動しました。冬の代表星座「オリオン座」「おうし座」や「すばる(プレアデス星団)」がきれいに見られました。望遠鏡ではオリオン座の馬頭星雲も見ることができました。名古屋では見られない星空を見られました。

食事は自炊です。力を合わせて作ります。野菜と豚肉がいっぱい入った鍋料理(あごだし鍋とキムチ鍋)になりました。
地平線近くにオリオン座が見られます。三つ星を天頂に向かって見上げるとおうし座のアルデバラン、さらにその上にすばる(プレアデス星団)が見られます。
冬の大三角(ベテルギウス・シリウス・プロキオン)

2日目(2019.12.26)

昨日の快晴から一転して雲が多い日となりました。天気予報では午後に雨が降るということなので調査は3日目に延期し、午前中は日本の地形図に唯一「砂漠」と表記される裏砂漠を歩き、午後は島内を巡って伊豆大島の歴史に触れることにしました。

三原山の南東側の斜面には植物がほとんど生えていない場所「裏砂漠」という荒原があります。
雄大な景色をバックにジャンプ
午前中は時折日差しがありました。午後の部分日食も見られることが期待されました。
泉津の「切り通し」巨木の根が露出している珍しい場所です。
伊豆大島の南西部の道路沿いに巨大な地層断面が見られます。
この地層は約1万5千年前からの火山灰が地表面に層状に積もったものです。伊豆大島が過去に何回の噴火を繰り返したかを知る手がかりになります。
伊豆大島の南部にある波浮港を高台から見下ろす。
9世紀ごろに起きた噴火でできた火口を利用しています。水深は約400mでとても深い。

3日目(2019.12.27)

最終日、朝から快晴になり、昨日延期した調査を中心に活動しました。1日目の調査区域で10m×10mの方形区を3つ作り、その内側にどのような植物がどれくらい生えているかを調査します。国立公園内であるため植物を持ち帰ることができないため、普段授業で使っているiPadを活用します。方形区内の植物を撮影し名古屋に戻ってから同定することにしました。

方形区を作って植生を調べます。
1986年噴火の溶岩流にはコケが生えています。所々にススキが点在しています。
1986年噴火で流れ出た溶岩流には植物が生えていない様子がよくわかります。その周辺は1986年噴火以前の噴火で焼き尽くされた土地に植物が生え荒原から草原に変わりつつあります。
ススキの草原内に陽生植物が点在するようになってきています。
再び三原山山頂へ。1986年噴火の火口を観察します。約200mの深さがありますが、噴火があったときはここまでマグマがあったそうです。
山頂にある有名な溶岩。映画「ゴジラ」によく似ている。映画「ゴジラ」では、ゴジラは三原山で命が絶えたそうです。伊豆大島のお土産にもゴジラは登場します。

15時30分の高速ジェット船に乗り、伊豆大島を離れました。16時15分ごろに熱海港に到着し、17時14分発の新幹線(こだま)に乗って名古屋に向かいました。3日間のサイエンスキャンプ で得た経験(科学の見方・考え方)を今後の学校生活でも十分に生かしていきたいと思います。また、このサイエンスキャンプ に参加することに賛同してくれた保護者のみなさまに感謝いたします。ありがとうございました。

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Ichimura Science Camp 2019 Summer

8月5日(月)〜7日(水)の2泊3日、長野県駒ヶ根市(駒ヶ根キャンプセンター)でサイエンスキャンプを実施しました。中1から高2まで男女合わせて11名が参加しました。

1日目

集合場所(名鉄名古屋バスセンター)に定刻通り集合し、菅の台バスセンターに向けた高速バスは7時30分に出発しました。快晴の空の下、バスは約2時間30分後に菅の台バスセンターに到着しました。バスを降りたあと私たちは、太田切川にかかるコマクサ橋を渡り、菅の台バスセンターに隣接している「森と水のアウトドア体験公園」に向かいました。太田切川が上流から運んだとされる巨石が横たわる公園で昼食を済まし、太田切川でしばらく川遊びを体験しました。かつて太田切川から運ばれた土砂は扇状地を形成しました。駒ヶ根市一帯はその扇状地上にあります(いまは太田切川が氾濫しないように砂防ダムが作られています)。

太田切川にかかるコマクサ橋。木造の吊り橋でよく揺れます。
昼食後は川で水遊び。水はかなり冷たい。
川底の石をめくると何か動くものが・・・。水質のきれいな川にせい息するカゲロウ・トビケラです。
「永遠の鐘」を鳴らしました。友好都市の愛知県田原市恋路ヶ浜にある「幸せの鐘」と数年に1度交換しているそうです。

駒ヶ根は地下に良質な地下水が流れているため、水を使った産業が発達しています。良質の水を使う酒造りが盛んです。マルスウイスキー蒸留所の工場見学をさせていただきました。中央アルプスに位置する木曽駒ケ岳の東側は花崗岩質でそこを流れ出た地下水はミネラルが豊富なのです。材料の麦も国産にこだわっているとのことです。仕込み・発酵・蒸留・貯蔵(熟成)の工程を見学できました。酵母によるアルコール発酵の仕組みは高校1年生の「生物基礎」で学びます。蒸留のしくみの原理については高校2年生の「化学基礎」で学びます。

この樽の中で発酵させます。アルコールと同時に炭酸ガスも発生します。
木製の樽で発酵させています。金属製と樽とどのような違いがあるのでしょうか。

今日から3日間はコテージを貸し切って食事は自炊となります。事前学習会でメニューを打ち合わせてありますので食材も分担して持ち込みました。現地で調達した食材と合わせてチームごとに工夫しながら調理します。餃子を作ったり、うどんを作ったり、麻婆豆腐を作って楽しくいただきました。

餃子の完成!美味しかったです!

夕食後は星座観察に出かけます。各自用意したiPadにインストールした「星座表」アプリを使って夏の星座を観察します。今夜の課題(Mission)は、北斗七星の二重星の観察です。北斗七星の柄の端から数えて2番目の星は二重星です。駒ヶ根のような光害の少ない夜空で観察できます。また、夏の大三角(ベガ・アルタイル・デネブ)と天の川、木星とさそり座のアンタレスを観察します。

iPadのアプリで星を探します。
北の空に見られる北斗七星。二重星を探します。写真をクリックすると大きく見られます。
都会では見られない満天の星を見上げます。写真をクリックすると大きく見られます。
写真をクリックすると大きく見られます
天の川。写真をクリックすると大きく見られます。

2日目 駒ケ岳登山と高山植物の観察

サイエンスキャンプの2日目は駒ケ岳登山と高山植物の観察です。6時半に駒ヶ根キャンプセンターを出発です。菅の台バスセンターからしらび平に向けてバスに乗ります。本格的な登山シーズンでもあるため臨時バスが出ていました。しらび平から千畳敷カールへは標高差約1000mをロープウェイで登っていきます。ロープウェイのゴンドラは約8分間で標高差1000mを移動します。窓の外の植物が亜高山帯から高山帯へと変わっていきます。標高2612mの千畳敷駅に着く頃には背の高い大木はすっかり見られなくなります。軽くストレッチと準備体操後いよいよ木曽駒ケ岳に向けて出発です。ここでの課題(Mission)は高山植物(特にお花畑)の観察です。色とりどりの花々を写真に収めめていきます。

千畳敷カールをバックに記念撮影。岩の山が宝剣岳です。

中岳山頂にて。みんな元気です。
木曽駒ケ岳の山頂です。手作りのお弁当(おにぎり)は最高です。おいしかった!
宝剣岳への道はクサリ場が続きます。慎重に登ります。
宝剣岳には3名が挑戦しました。

いまから約2万年前の氷河期、日本列島は氷河に覆われていました。氷河が滑り落ちる時、ゆっくりと山肌を削っていきます。削られた山肌はお椀の底のように丸みを帯びます。これがカール地形です。氷河が削った土砂が集まったところをモレーンと呼びロープウェイ駅の少し盛り上がった場所も確認できました。

お椀の底のように丸みを帯びたカールが見られます。
登山道からロープウェイ方面を眺めます。遠くに富士山頂も見られます。
標高差約300mを1時間かけて登ります。

3日目 光前寺のヒカリゴケと早太郎伝説

サイエンスキャンプの最終日はヒカリゴケの観察です。駒ヶ根市光前寺境内の石垣のすき間には「ヒカリゴケ」と呼ばれるコケが自生しています。ヒカリゴケはホタル(蛍)やヤコウチュウ(夜光虫)のように、コケが自ら発光しているわけではありません。ヒカリゴケの原糸体の細胞がレンズ状(レンズ状細胞)になっていて、太陽光がこの細胞に入射するとレンズ状細胞内で屈折し細胞内に光を集めます(集光)。その場所に葉緑体がありヒカリゴケはこの光を利用して光合成をしているのです。光合成で使われなかった光(緑色の光)は細胞外に反射光として入射した方向に戻り、私たちはその反射光を見ているのです。光を背にした時にだけ光ってみられるのはこのためです(ビー玉に光を当ててみるとその仕組みを知ることができます。挑戦してみてください)。ヒカリゴケはレンズ状細胞によって効率的に光を集めることができるため、薄暗い石垣のすき間や洞窟内でも生育することができるそうです。現在、ヒカリゴケは環境省のレッドデータブックで絶滅危惧種に指定されていてとても貴重な生物種の1つとなっています。

光前寺の木造の門の前で記念撮影です。3日目ですが元気です。
石垣のすき間をのぞきます。ヒカリゴケを撮影します。
ヒカリゴケがエメラルドグリーンに光って見えます。
犬の早太郎が大猿を退治したという「早太郎伝説」。早太郎の墓があります。
アリジゴクが多数見られます。ウスバカゲロウの幼虫です。
3日間お世話になったコテージ。快適でした。
3日間お世話になったキャンプセンター。

2泊3日という日程で様々な体験ができたことでしょう。この貴重な体験をこれからの学生生活とその後の人生生活で活かしてもらいたいと思います。近日中に生徒の感想をまとめて報告します。

次のサイエンスキャンプ(Science Camp 2019 Winter:伊豆大島)は、12月を予定しています。

 

 

 

 

 

 

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Science Camp: 理科野外実習(伊豆大島編)が始まりました

 

予定集合時間より早く集合です。

 

市邨高校では、各分野の研究者の話を聞いたり、実際の研究所・工場などを訪問しています。その一環として伊豆大島を訪れる野外実習(12月22日〜24日)を実施します。

「生物基礎」の授業で学ぶ「植生とその遷移」では、一次遷移の例として多くの教科書で伊豆諸島が取り上げられています。今回の野外実習では2泊3日の日程で、伊豆大島における植生の変化(火山噴火で植物が失われた土地からどのように植物が再生されるか)を実際の目で見て学んできます。また、伊豆諸島がどのような地殻変動で生まれたか、伊豆大島特有の動植物、伊豆大島見られる夜空など、参加者それぞれが探求のテーマを持って調査します。

1986年の噴火で起きた溶岩流の先端部
溶岩流が生活道路をふさいだ様子です
1986年の割れ目噴火の火口付近です。

上の3枚の写真は、31年前に筆者が撮影した伊豆大島三原山噴火の様子です。今回の調査では31年間で植生がどのように変化したかも観察します。

今回の実習のもう一つの目的に、「自ら考え、判断し、行動する」を掲げました。

実習期間中の食事については、現地の食材を使って自分たちで調理することにしました。宿泊先も旅館ではなく貸別荘を選びました。事前に打ち合わせたことは、「食材として持ち込むものは、一人当たり米2合とおかず缶詰1〜2個まで」です。その他の材料は現地の方々に直接話を聞いて買い揃え、自炊することにしました。

刺身の美味しい魚屋さんを紹介していただきました
どれを買うか迷ってしまいます

買ってきた食材を洗ったり、切ったり、焼いたりと食事作りを協力して行いました。

貸別荘のキッチンをかりて食事作り

現地で調達した食材を使った食事ができました。みんなで美味しくいただきました。今日の夕食後は、引率教員による星空観察です。参加者の皆さんは事前にiPad(星座早見アプリ)で予習してきました。

みんなで考え、協力して作った夕食です。感謝の気持ちを込めて「いただきます」

明日はいよいよ三原山を目指します。

野外実習2日目 いよいよ 三原山を目指します!

昨日の雨も小休止、太陽こそ見えませんが雨は上がりました。予報では昼頃から一時的に雨になりそうなので早めに行動します。朝7時に宿泊所を出発です。三原山登山口へ向かいます。

伊豆大島の三原山は今から32年前の1986年秋、突然噴火活動を活発化させました。三原山は、江戸時代以降40〜50年の周期で小規模な噴火活動を続けている活火山です。1986年の噴火もその周期に当てはまっていましたが、噴火の規模が大きく違っていました。下の写真で数本の黒い筋が見えますが、これがそのときカルデラ火口を超えて流れ出た溶岩流です。今からその溶岩流を目指して歩きます。

三原山登山口から三原山を望む。1986年噴火の溶岩流が見られます。

溶岩流の先端まで来ました。噴火から32年経っているため溶岩流の上には植物が生え始めています。しかしもともと高熱の溶岩の中に植物の種子はありませんので、これら植物の種子は、風で飛ばされたり、鳥や動物に付着した種子が運ばれたものです。このように地面に植物の種子などを含まない土地から植物が始める現象を植物遷移といいます。先ほど紹介したように、伊豆大島三原山は周期的な噴火が起こるたびに植物の遷移が見られるため、植物の移り変わりにかかる時間が計算できるので野外調査には最適なフィールドです。あまりにも気持ちよかったので横になって自然を体で感じています。

溶岩流の上に寝転んで大自然を満喫しました。最高!!!

三原山外輪山の内側(カルデラ内)は周期的に起きた溶岩流がそこかしこに見られ、植物相はあまり豊かではありません。さあ、登山道を火口に向かって進みます。

 

舗装された登山道路の傍にキク科植物が咲いていました(ヨメナかな)。名古屋に戻ってから同定したいと思います。植物遷移過程というよりは人為的に運ばれてきたものと思われます。

三原山(標高758m)が大噴火を起こしてから32年余りが過ぎました。その間にも自然の営みは絶えることなく続いています。植物は溶岩によって土中の根だけでなく種子も焼かれ、大地は溶岩流で覆われてしまいます。溶岩に植物の種子が風で飛ばされてきても根を張るための土がありません。降った雨も保水されることなく流れてしまいます。植物が生育できる環境ではありません。しかし植物は長い年月をかけて植物が生育できる環境へ作り変えていきます。次の写真を見てください。溶岩のところどころに緑色の斑点が見えることでしょう。コケ類や地衣類の仲間です。コケ類や地衣類が溶岩の上に張り付くように生育を始めます。深く根を張らないため溶岩の上にも生育できます。

黒い溶岩にコケ類・地衣類が見られます 植物遷移の始まりです

コケ類や地衣類の遺骸や溶岩の風化による土砂から土壌が作られると、パイオニアプランツ(先駆植物)が侵入してきます。伊豆大島でのパイオニアプランツはハチジョウイタドリになることが多いそうです(一年草であることから冬季の時期ではすでに枯れていました)。黒い溶岩流の上にも植物が侵入し始めている様子が下の写真でもよくわかる。黒い溶岩流の輪郭がはっきりしなくなってきた。

2018年12月の三原山の溶岩流 。1986年11月と比較すると輪郭がはっきりしなくなってきたようだ。

火口付近には、火口を取り囲むように遊歩道が作られている。火口を覗きこむといまでも噴気を挙げている。雨が降ってきたので先を急ぐことにしました。

火口からは噴気が上がっているが心配がいらない
三原山の山頂(標高758m)まであと少し。火口を展望できます。雨が降り出したので先を急ぐ。
山頂はガスの中、多くの登山者と一緒に向かいます。

三原山が1986年の大噴火を起こす2年前に公開された映画「ゴジラ」のラストシーンで三原山は登場します。超音波装置によってゴジラは三原山まで誘導させられます。そして人為的に噴火させられた三原山の火口にゴジラを落として、ゴジラは消息を絶つという。ゴジラはどんな気持ちだったのでしょうか。実際に、その2年後に三原山が噴火をしたことで「ゴジラの祟り」とも言われました。

三原山を下山して、日本で唯一の火山専門博物館「伊豆大島火山博物館」まできました。この施設は1986年の大噴火の教訓を後世に伝えながら、伊豆大島の自然について考えられる施設となっています。伊豆諸島の成り立ちだけでなく日本列島全般に学ぶことができるようになっています。溶岩樹型が置かれていました。森林地帯を溶岩が流れる時、溶岩が樹木の幹を取り囲むように流れます。樹木の幹は溶岩の熱で燃えてしまいますが、溶岩はそのまま冷えて固まるため幹の部分だけ丸く穴が開いてしまうようです。

日本唯一の火山専門博物館です。1986年の噴火を後世に伝えるために建設されました
溶岩樹型(溶岩に穴が開いて見えます。溶岩が樹木を取り囲み、樹木だけが燃え尽きたため穴が開いて見える。

伊豆大島が火山の島であるだけでなく、地殻変動の影響を受けている様子を見ることができる場所へ行きました。通称「バームクーヘン」と呼ばれている地層断面です。なんとバス停の名前も「バームクーヘン」です。地層断面がきれいに現れている場所です。見事にきれいな縞模様を見ることができました。とても美味しそうです。

バームクーヘン
名前だけでなく、バス停の看板までバームクーヘンです。フォークまでささっています

二日目の夕食です。大島産のマグロ、けんちんうどん(かつおと野菜だしの煮込みから、うす味みそ煮込み、濃い味噌味のうどんと、具を変え 、味を変えました)、おかわりたくさん(鍋はキッチンにあります。昨日入れたバラ肉の出汁、きょうは牡蠣も足して)。しあわせな食事でした。

昨日の夜に引き続き、現地調達した食材を使って調理しました。今日は新鮮な刺身が手に入りました。

12月23日は今年最後の満月となりました。今日降っていた雨もすっかりと上がり、きれいな満月を拝むことができました。

ティコの光条まではっきり見える満月でした。みんな大興奮!

月を見ていた生徒たちからは、次の歌が聞こえてきました。

天の海に 雲の波立ち 月の船 星の林に 漕ぎ隠る見ゆ

(柿本人麻呂)「天の海に雲の波が立ち月の船が星の林に漕ぎ隠れていくのが見えるよ」

就寝時間までしばらくお茶を飲んでゆっくりすごします。明日の計画を考えながら。

理科野外実習も最終日(3日目)

名古屋から遠く離れた太平洋に浮かぶ伊豆大島での実習も今日が最終日です。本実習の目的とは別に、参加者それぞれが課題を設定して臨んだ実習でした。充実した3日間を過ごすことができました。

実習最後の食事作りです。

合わせ味噌仕立ての雑煮をつくりました
ひとり2合ずつ持参した米が尽きたので、味噌あじの雑煮になりました。
昼ごはんのお弁当は、一人当たり2個のお餅弁当。
お餅を焼いたあと防寒用に持参したカイロで保温して持っていきます。※このカイロは屋外用で最大70℃にも達するそうです。昼食まで十分な保温を期待できそうです。
弁当箱は昨日の刺身パックを再利用。よく考えました。カイロを貼って、保温性も抜群です。
 
今日は、筆者が31年前に調査した割れ目火口へ向かいます。その後、ハブ港の展望台、旧家(文化財)へ。
午後3時45分発のジェット船まで充実した時間を過ごしたいと思います。
参加した男子生徒が、沖を泳ぐイカの子どもの集団を見つけました。すごいです。
 

 

 

 

この記事の筆者
理科
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