本日、職員研修が開かれ、福島県立相馬支援学校の稲田健美先生においでいただき、ご講演をいただきました。日本のICT教育黎明期からテクノロジーを駆使して数々の個性に合わせた教育活動を展開されてきた稲田先生のお話は、教育の本質に迫るもので、聞いている私たちの胸を揺さぶるものでした。
そもそも特別支援とは、特別な教育ニーズがある子を支援する教育のことであり、「障がい」はその一つに過ぎません。この支援は、すべての教育現場、すべての教員が当たり前に行なっているべきものだ、という稲田先生の言葉が突き刺さりました。各生徒児童にとってニーズは異なるのですから、支援は個別になるしかありません。その子がどのような経験してきて、今どのような力をつけ ていくべきなのか、教員はしっかり考えた上で、日々の支援を行います。授業でも同じなのですが、その支援をするのは「何のためのなのか」「どうなって欲しいのか」を考え抜き、それを達成できるように導く。これは言葉で言うほど容易いものではないかもしれません。でも、そこでテクノロジーを適切に使うことで、これまで見えなかったその子の個性や、心の機微や、感情の揺れが発見でき、それに対して適切なアプローチを探すことが可能になってきました。
さて、講演の中で、肢体不自由の子がいかに自分で自主的に選択し、自分の力を開発したかを見る場面がありました。その時のその子の嬉しそうな顔、そして教員の嬉しそうな声。できなかったことが少しずつできるようになっていく。その方法や歩みは人によって違う。当たり前のことですが、今の学校教育の現場で、もう一度大切にされて良いことではないでしょうか。