
― 高雄・黄埔新村(Huangpu New Village)で、歴史と食 文化をともに学ぶワークショップ ―
これまでオンラインで継続的に学び合い、パレスチナの学校支援やカンボジアの学校支援にともに取り組んできた日本と台湾の生徒たちは、今回、台湾において対面での交流会を行いました。画面越しに積み重ねてきた対話が、実際に顔を合わせることでさらに深まり、互いの学びや思いを確かめ合う機会となりました。
本事業は、世界の課題について共に学び、発表するだけにとどまらず、その学びを生かして実際の国際支援活動へとつなげてきたところに特色があります。
日本と台湾の生徒たちは、パレスチナの学校支援、カンボジアの学校支援、難民女性支援に向けて、ともに考え、ともに行動しながら学びを重ねてきました。
今回の対面交流もまた、そうした実践の延長線上にあるものであり、異なる文化を学び合い、理解を深めること自体が、ユネスコ憲章第1条に示された、教育・文化を通した諸国民の交流と相互理解の促進、そして平和の基礎を築く営みに通じるものとなっています。
今回のワークショップでは、高雄(Kaohsiung)にある 黄埔新村(Huangpu New Village)を訪れ、日本と台湾の生徒たちが、歴史と文化をともに学ぶ時間を持ちました。
① 歴史を学ぶフィールドワーク
黄埔新村(Huangpu New Village)は、歴史ある眷村文化を感じることのできる場所であるとともに、現在は新たな交流や文化発信の場として親しまれている地域です。
歴史を受け継ぎながら、新しい地域文化の拠点として生まれ変わっているこの場所でのフィールドワークは、生徒たちにとって、過去を学ぶことと、現在の地域の営みを見つめること を結び付けて考える機会となりました。
現地では、日本と台湾の生徒たちがともにまちを歩き、地域に刻まれてきた歴史について学び合いました。説明を受けるだけでなく、ともに見て、ともに考え、ともに語り合うことで、歴史は単なる知識としてではなく、平和や共生を考えるための学びとして受け止められていきました。
異なる地域に生きる生徒たちが、地域の歴史をともに学び合うことは、相手の背景や価値観を理解しようとする姿勢を育み、「人の心の中に平和の砦を築く」というユネスコの理念にも通じる実践の一場面となりました。
② 食文化を学ぶ交流ワークショップ
この日は、台湾で親しまれている「花巻(Huajuan)」づくりにも一緒に取り組みました。生徒たちは、手のひらサイズの生地を丁寧にねじり、花びらのような形に整えて蒸し上げ、完成したものをともに味わいました。

ともに作り、ともに食べる時間は、言葉だけでは伝えきれない暮らしの 知恵や文化の背景にふれる機会となり、互いの日常や価値観への理解を深める温かな交流の場となりました。


このように、今回のワークショップは、地域の歴史を学ぶ活動と、食文化をともに体験する活動の両面から構成されていました。知識として学ぶだけでなく、実際に歩き、見て、作り、味わうことを通して、文化や歴史への理解を深める時間となりました。
このような学びは、知識の習得にとどまらず、対話を通して他者を理解し、自らの考えを深め、実際の行動へとつなげていく「ESDの実践」として捉えることができます。
また、世界を共に学び、共に国際支援に貢献してきた学校の学生たちが、互いの異なる国や文化・相手を尊重しながら協働し取り組む見ながら学び合う関係を築いていく経験は、他者への共感力、より公正な判断を行うといった、ユネスコのSEL(社会性と情動の学習)の視点とも重なります。
今回の交流もまた、相手を理解し、協力しながら学ぶ力を育む機会となりました。
さらに、こうした対面での学びの中で、自分の言葉で伝えること、相手の思いを受け止めること、ともに活動を形にしていくことは、生徒たちの自己有用感を育むうえでも大切です。
自分がこの交流の一員として役割を持ち、仲間とともに学びをつくっていることを実感する経験は、学校教育における「ウェルビーイング」にもつながっていくことが期待されます。

文部科学省が重視する「主体的・対話的で深い学び」、市邨学園の理念である、「あたたかい心(慈悲)」「素直な心(忠実)」「くじけない心(忍耐)」、ユネスコ憲章の「平和の砦」とも響き合いながら、本事業は、対話と交流を基盤として平和と共生を考える学びの姿を具体的に示していきます。
本校では今後も、文部科学省EDU-Portニッポン応援プロジェクトのもと、ユネスコ憲章の理念をふまえながら、対話と交流を通して世界の課題、地域の歴史、文化的背景を結び付けて学ぶ教育実践を積み重ねてまいります。
次回は、午後に行われたフィールドワークの様子について報告いたします。



