Ichimura Science Camp 2024 in Winter
伊豆大島で5回目のサイエンスキャンプを実施しました
2024年12月27日〜29日の二泊三日、伊豆大島の三原山をフィールドにしたサイエンスキャンプを実施しました。コロナ禍で2年間は宿泊を伴う行事はできませんでしたが、一昨年度に伊豆大島でのサイエンスキャンプを3年振りに復活させ、今年は5回目の伊豆大島サイエンスキャンプを実施することができました。高校生11名と引率教員3名が参加しました。
第1回 サイエンスキャンプ2018の様子はこちら
第2回 サイエンスキャンプ2019の様子はこちら
第3回 サイエンスキャンプ2022の様子はこちら
第4回 サイエンスキャンプ2024春の様子はこちら
本校で開催している「市邨サイエンスアクティビティ」
1日目 名古屋→東京→伊豆大島(強風による臨時便)
年末寒波の影響を受けて、熱海港発のジェット船は欠航となりました。臨時便が東京の竹芝桟橋から就航するということとになったため、新幹線は熱海駅から品川駅へ変更しました。
臨時便は大型客船の「サルビア丸」。伊豆大島までは約4時間の船旅となりました。甲板に出ることができ、船からの景色を楽しむことができました。レインボーブリッジをくぐり、横浜のランドマークタワーを眺めました。伊豆大島の岡田港には14時過ぎに到着しました。1日目に予定していた大島島内散策を3日目に変更しました。太平洋に沈む夕日がきれいでした。月入り時間が午前3時頃なため星空観察は格別でした。
2日目 三原山の植生調査と火山散策(1986年溶岩、火口観察、裏砂漠)
2日目は現地ガイドの西谷香奈さんの案内で、溶岩 の種類、植物遷移の様子、強風の測定、樹林帯の観察をしました。
観察の様子は、グローバルネイチャークラブのブログで紹介されています
前半の様子
後半の様子
噴出した溶岩はその温度によって、粘性の強弱があります。「パホイホイ溶岩」と「アア溶岩」です。江戸時代溶岩はパホイホイ溶岩で、1986年溶岩は「アア溶岩」でした。パホイホイ溶岩は溶岩の流れを表面にできたシワで判断できます。アア溶岩は人が歩く速さと同じくらいということもあり、島民はアア溶岩を使って土産品の灰皿を作っていたようです。
私達は86年溶岩にどのような植物がどういう順番で現れるかを調べています。今回も方形区(10✕10m)を2つ作りどのような植物が生えているかを調べました。今年の観察ではコケ類の増加、点在していた植物が線状につながっている様子を見ることができました。足元の「キツネノチャブクロ」というキノコをつまむと上部の穴から胞子が飛び出しました。おもしろくて何度も楽しみました。
調査の後、三原山の山頂まで登りました。ものすごい風です。風速計で測定しました。44.3m/sで、時速に換算すると160km/時です。立っているのがやっとでした。手を広げると飛べるようでした。山頂の休憩所(トイレを兼ねる)で風をしのぎながら持参したおにぎりを食べました。西谷さんから温かい明日葉茶をいただきました。山頂付近は風が強いため裏砂漠の方へ下山し ました。
裏砂漠は大島の北東部に位置している広大な荒野です。いつも強風が吹き荒れていることで植物が定着しづらく、真っ黒な荒原となっています。崖を見ると歴代の噴火で噴出した火山灰の層を観察できます。
裏砂漠から樹林帯に続く一本道を歩きます。この道は「いつか森になる道」と名付けられています。溶岩の噴出年によって植生が異なっています。背の丈ぐらいのハチジョウイタドリの群落に、ハチジョウイヌツゲがまばらに生え、「再生の一本道」と呼ばれています。溶岩の周囲だけを残して内部が空洞になった溶岩トンネルも不思議な地形です。
3日目 島内散策(巨大地層断面、火口が港になった波浮港、筆島、裏砂漠)
3日目は島内を散策しました。伊豆大島周回道路を建設中に発見された「巨大地層断面」は資料的価値の高さから保存されています。高さ20mの崖が約2kmほど続きます。地層は地面に降り積もった火山灰で、地層を数えると火山噴火の回数がわかります。
波浮港は2万年前の火口を利用しています。江戸時代の大地震で火口が海とつながり港になりました。周囲を崖に囲まれいるため、強風時も港内は穏やかであることがから江戸から昭和の初期頃まで多くの船舶の停泊地として栄えました。
筆島は火口に残ったマグマが冷めて固まった火成岩です。火口周辺の岩石は和らかいため波で削られました。
最後にもう一度裏砂漠へ移動して、その雄大な景色を楽しみました。風は相変わらず強いですが、熱海港へのジェット船は欠航しませんでした。予定通り無事に熱海駅から新幹線に乗り名古屋へ帰りました。