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市邨 2023夏季サイエンスアクティビティ Part.4

2023夏季サイエンスアクティビティ(相良油田・浜岡原子力発電所)

2023夏季サイエンスアクティビティの第4弾!静岡県牧之原市と御前崎市にある相良油田と浜岡原子力発電所で実施しました。

Part.1の様子はこちらからご覧ください。

Part.2の様子はこちらからご覧ください。

Part.3の様子はこちらからご覧ください。

これまでのサイエンスアクティビティはこちら。

新旧エネルギーを訪ねる旅

8月7日、静岡県の相良油田と浜岡原子力発電所へ旅しました。

まず相良油田へ(経済産業省に近代化産業遺産として指定されています)。

「近代化産業遺産」の認定証

アニメ化もされた『Dr.STONE』で聖地にもなったこの油田は明治6年に手掘りが始まり、同年、日本で初めて機械掘りも始まりました。しかし、手掘りの井戸が多く、深さ100m以深に人が入って作業するために「たたら」という送風機で空気を送りました。

「たたら」という空気を地下へおくる足踏み式の人力のポンプ。朝から夕まで止めることができません。
こちらの建物が原油を掘り出す油井の復元小屋です。

当然火気厳禁で明かりは、太陽の光を鏡で反射させて坑内に入れたそうです。写真の屋根についている出っ張りが光を入れるところです。底では月明かりぐらいだったとか。そんな困難な採掘だったので、22人の方が亡くなったとのこと。ただし、罪人も採掘に携わったのですが、亡くなっても石仏になり、数に入れられませんでした。しかし、いい給金が払われていたとのことです。

採算が合わないので採油していませんが、今も原油は地表付近にあります。相良油田資料館の館長さんが汲み上げてくれました。

今も現存する唯一の油井です。管の中に原油が見られます。館長さんがペットボトルを入れてすくってくれます。
相良油田から産出される原油は重油成分が少ないためサラサラしています。
管の中の様子。原油を見ることができます。
すくいとった原油をペットボトルに移し換えています。日に当たると少し青みがかっています。

下の写真は同じに日汲み上げたものですが、暗いところに置いておいたものは、青く見えます。時間が経つと青みが消えるとか。桜祭りでは、この原油を直接タンクに入れてバイクを走らせています。また、ランプに直接入れても明かりが取れます。

左側が暗いところに保管した原油です。日に当たって青く見えます。この違いの理由はわからないということです。
原油は分留・精製する必要がありますが、相良油田の原油は分留しなくても火が着きます。とても珍しい現象です。

次に浜岡原子力発電所へ。

まず、展示施設の浜岡原子力館の実物大の原子炉の前で説明を聞きました。

左の青い装置が原寸大の原子炉模型です。
発電所を津波から防ぐ防波壁の原寸大模型です。海抜22メートルの高さにもなります。実際の防波壁も見学しましたが撮影はNGでした。

それから屋上展望施設で案内を受けました。セキュリティーのため、写真は不可となっています。
そして、浜岡原子力発電所へ。こちらも写真は不可。事前に申請した見学者か、身分証明書で確認です。
セキュリティーゲートでは、車体の下までチェックします。

テレビでよく見る防波壁の前で下車して見上げましたが、とてつもない高さでした。
高台には電源車やキャタピラーのポンプ車も。

5号機の運転シミュレーターを見ながら、どんな訓練をしているかの話を伺い、失敗の回廊でいかに安全を深めていくかの話を伺いました。自由見学の時に、中部電力に就職したいと生徒たちが言い出したのは、そんな仕事にプライドを感じたのもあるかなあと感じました。

古いエネルギーも新しいエネルギーも、とても困難な課題を抱えながら取り組まれていると感じる旅でした。

畑の真ん中に突き出た油井の管の前で記念撮影です。
浜岡原子力発電所の資料館前で記念撮影です。

生徒の振り返り

○まず、油田の見学については、地元の県の東隣の県で原油が取れるということが分かったことに驚きを感じました。そして、明治時代の古くからの採取方法で原油を取っていることがわかりました。そして、古くからの採取場所である小屋では、作業員さんの安全保障を上げるための大道具があることがわかりました。
そして、原子力館兼原子力発電所施設内の見学については、福島第1原発をきっかけに原子力発電所の安全性が向上していることがわかりました。そして、原子力発電所でも、数十年間で数回の失敗を重ねつつ、安全性が向上していることがわかりました。そして、東日本大震災をきっかけに、原子力発電所が災害の被害に遭わないように大きな対策が立てられていることがわかりました。

○相良油田は10人ぐらいのグループで200mを手で掘って作られていることに驚きました。また、相良以外の場所で採れた石油と色や動きなどが違っているのが不思議でした。浜岡原子力発電所では福島第一原子力発電所のような事故を二度と起こさないために行なっている対策をすぐ近くで実際に見ることができたのがとても嬉しかったです。

○相良油田では、空気の入れ替えをしているたたらに実際に乗ってみた時に結構狭く感じて、4〜8人の夫人が乗っていたと書いてあるのに気づいた時にはこの横幅に2:2か4:4などの人数が乗っていたのかなと少し想像はできたが、一体どうやって空気の入れ替えをしていたのかは想像することができなかったのと、ランプをつけて見せてもらった時に匂いを嗅いでみたがストーブの匂いがしてなんか懐かしさを感じることができました。
浜岡原発では、津波での原発の事故を原因から教えてもらってそこからパイプのサポートを強化したり、また災害が起こった時に備えて防災訓練をしたり、様々なシチュエーションに遭遇しても最悪な事態にならないように様々な対策をしていることなどの浜岡原発の説明を聞いて知ることができてとてもいい時間だったなと感じることができた。

○初めてこの目で原油を見ました。相良油田で採れる原油は良質でさらさらしていることや想像していたよりも簡単に採取できることなど多くの驚きがありました。特に青みがかった赤褐色をしていることが1番驚き、不思議に思いました。原子力発電所では発電所内の構造や原子力発電方法などを知ることができました。5号館内を見学した際に入れてもらった部屋には今まで起こった事故や失敗を当時の新聞や写真、実物をもとに記録しており二度と同じ失敗を起こさないという意志が伝わりました。どれも貴重な体験で楽しかったです。

○今回は原子力発電所の中がどのようになっているのかをしれました。また発電所での失敗を活かすための施設から過去にどのような事件があったのかを知ることが出来ました。今回の見学で原子力発電所の理解が深まるいい経験となりました。
そして油田ではどのように原油が取られているかをしれてその仕組み自体は簡単であることにびっくりしました。実物を見ることで油田や発電所の知らなかった部分を多く知れて楽しかったです。

○私は、今回の見学を通して原油の採取方法や原子力発電の安全に向けた取り組みについて知ることができました。
相良油田では、今でも畑の中にあるパイプから原油が採れることに驚きました。今回、見させていただいた原油は世界的に見ても良質なものであり、同じ原油でも、採取できる場所によって、色や成分が違うことが分かりました。原油は、中東諸国で採られているイメージがありましたが、日本でも採取できる場所があることを再認識できました。
原子力発電所では、福島第一原発での事故をきっかけに安全に運営するための多くの取り組みが行われていることが分かりました。原子力発電では、効率よく発電できる反面、安全面に関して不安があるものだと思っていました。しかし、通常の建築物よりも丈夫な部品や構造によって、安全な施設がつくられていることが分かりました。
今回は、貴重な経験をさせていただきありがとうございました。

 

 

この記事の筆者
理科
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