今年度の修了式を迎えることができました。
あいにくの雨の予想ですので、グランドで全員が集うことなく、放送での修了式となりました。
この一年もコロナ禍で様々な制約を受ける中での学校生活でした。
生徒の皆さんは懸命に毎日の生活を送っていたと思います。その努力を高く評価したいと思います。
式辞です。
おはようございます。
今日は 令和3年度の修了式です。この修了式の意味は、1年間の学習の成果を認め、次の学年に進級することを承認するということです。ですから、ここに出席している君たちはこの一年間の学習の努力と成長が認めら、次の学年に進むということです。
努力と成長は何によって認められたのかというと、君たちの理解では簡単に言えば、欠席数と点数です。でもみんなが気づいているように、欠席が多いからといって学力が付いていないとは言えないんじゃないか、30点取れなかったからといって、31点取った人より頭が悪いといえるのか、努力がたりなかったと言えるのか。という疑問はあります。
今の基準はひとつの物差しです。人の能力や努力を測ることはきわめて難しいことです。不可能なことかもしれない。でも、評価は必要ないかというとそうではありません。社会の中で人々が互いを認め合って生きるには一定の評価が必要です。そのために、ある物差しを決め、それを基に基準を決めるのです。
日本の学校では、その物差しは、決められた以上の欠席をしないこと、一定以上の成績(それは点数で決められているので)、決められた以上の点数を取ることとなっています。この仕組みが日本の学校では昔から続いてきています。
しかし、市邨芳樹先生はそうは考えなかった。「学生の勉学は単に試験の為にあらず、智を磨き徳を修むる・・」といいました。試験では測れない努力や成長をどのように測るのかは、教育にとっての大きな課題です。そして、その物差しを変えようという取り組みが始まっています。日本中でそれに気が付いたのです。来年度入学する高校1年生より下の学年から進められるています。大事なことは、現在あるいは過去の努力や成長の結果を測る物差しが、未来への可能性を広げる物差し、評価でなければならないということです。未来の可能性を潰すような評価であってはならないということです。
今年も新型コロナウイルスのためにあらゆることが影響を受けました。臨時休校こそ9月の一時期、あるいは個別の学級閉鎖でしたが、授業においては、グループワークが減ったり、体育や家庭科、音楽などで実技が制限されました。また、部活動が大きく制限されたり、大声で話をしないとか、大勢が一つの所に集まらないとか、部屋は常に喚起をするとか、食事は対面ではなく、黙食となったりしました。皆さんの協力で、陽性者が出ても、学校生活の中で感染が拡大することはありませんでした。ただ、最近起きた部活動での広がりは危機でした。感染は、誰にでも起こりうることだし、良いとか悪いとかいうことではありません。でもそう思わない人たちもいるのです。ですから、誰が感染したのかとか、私は陽性だとかも、悪気はなくても言ってはなりません。それは、高度なプライバシーなのです。自分のプライバシーも他人のプライバシーも守りましょう。
学校行事は様々な変更を余儀なくされましたが、ほとんど実行することができました。高2の北海道への修学旅行と中3の沖縄への修学旅行を実施しました。後で考えれば、この時しかないというタイミングでした。
君たちはコロナのために充分な学校生活を送ることができなかったという「コロナ世代」ではありません。これまでの世代と同じ学校生活を送ってきたと言えます。しかし、一方では君たち自身の中に、学校はつまらないとか、行事も面白くないとか、学校に行く意味がわからないとか、これまで当たり前に学校に行っていたことへの疑問が湧いてきたとすれば、それは君たちにとっても学校にとっても大きな危機です。
それでも、なんとか生活上の制約や課題をこなし、毎朝検温して健康アンケートに答えてくれたり、体調が悪いときは無理せず休ん だりするなど、学校全体での心を合わせた取り組みによって、コロナの脅威に負けることなく、一年間を終えることができたのは、素晴らしいことだと思います。協力してくださった多くの人たちに感謝したいと思います。
学校生活でiPadは欠かせないものになりました。オンライン授業のためというのでなく、通常の授業においてのiPad は当たり前の文房具です。授業アンケートにはさらなる活用を求める声が多くあります。学校としてはもっともっと活用を進めていこうと思っていますし、より安全に、安定した利用ができるよう考えています。特に情報セキュリティについてはまだまだ不十分だと考えています。生徒諸君の守るべきセキュリティポリシーについて全校で理解を深めないといけないと考えています。重大なインシデントが起きないように対策を取る必要があります。
ところで、iPadを活用して、いくつかのアンケートを取りました。授業アンケート、学校生活アンケート、校則についてのアンケート、その他授業でもよくアンケートを取ります。これはできるだけ君たちの意見を取り上げて、生徒が主体となる学校にしようという動きです。よく答えてくれていると思いますが、学校がどのようにそれに応えるかに注目してください。全ての意見を取り入れることはできません。矛盾する意見があるからです。制服をもっと自由にしてほしいという意見もあれば、制服の規程をきちんと守るように指導してほしいという意見もあります。
校則については、来年度何らかの進展が示されると思います。一旦改訂したら終わりでなく、より良い校則に向けて常に見直しをしたいと考えています。皆さんの協力をお願いします。
この先コロナが終息するのにどのくらい時間がかかるかわかりません。まだまだ耐え忍ぶ期間が続くと思います。でも、この様な時こそ、市邨精神をもって、慈 忠 忍 の心で行きましょう。犠牲的精神を発揮して、世界に貢献する人物たらんと、大きな志を持って欲しいと思います。市邨芳樹先生の教えは現代にも有効で、現代の世界中で取り組むSDGsの理念に通じます。世界から貧困をなくし、皆が健康で平等な生活を営み、みずみずしい自然を維持し、青く掛け替えのない地球を守っていく、そのような力を持ちたいと思います。
有志の皆さんが、ロシアがウクライナに侵攻したために多くの難民が出ていることに対し、募金活動を始めました。勇気ある行動だと思います。
私たちは、市邨精神を高く掲げて、来年度の教育目標である、「生徒が主体となって、自ら考え、自ら行動する力を養い」たいと思います。
あすから春休みです。新学年が始まるまでに19日あります。新しい教科書は既に手にしています。開いてみて下さい。そして自分で勉強を始めて下さい。自分の興味のあるところを、自分の課題を見つけて、自分で調べ、考える、探究活動を始めて下さい。この春休みに、計画的に新学年の準備をしてください。
そして、コロナ対策をいつも忘れないようにしましょう。
4月6日に、全員元気で顔を合わせましょう。